令和5年度村政執行方針
○基本理念 『村民の「夢叶う」むらづくり』
・活力ある村づくり ・支えあう村づくり ・美しい村づくり ・人を育てる村づくり
○総合目標
・2031年度末 人口1,000人以上
はじめに

令和5年第1回村議会定例会の開催にあたり、村政執行に対する所信表明と令和5年度予算編成の概要を申し上げ、村議会並びに村民皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
私はこの度、村民の皆様から温かいご支持・ご支援を賜りまして、3期目となる村づくりの重責を担わせて頂くことになりました。
平成27年2月に村長に就任して以来、住むことに誇りと喜びが実感できる、「村民の夢叶う村づくり」を掲げ、議員各位や村民皆様に支えられ、道路や河川、住宅等の生活環境整備をはじめ、子育て世帯や障がい者の拠点施設整備に、オホーツク楽器工場の大規模改修、酪農家の悲願であったふん尿によるバイオガスプラントの建設、買い物弱者対策として地域商業施設の建設とQマート店の誘致、老朽化した村商工会事務所の建設など、国が推進している地方創生事業をはじめ各種補助事業を活用しながら、「酪農や林業、商工業などの産業振興」「医療や福祉、子育て支援に教育環境などの充実」、「定住・移住環境や観光推進と交流人口の拡大」等、様々な課題解決に向けた村政運営に努めて参ったところであり、これまでのご支援とご協力に心から厚く御礼を申し上げます。
また、令和2年1月28日に道内で初めて感染者が確認された、新型コロナウイルス感染症は3年以上に渡り猛威を振るい、外出の自粛やイベントの中止など人の集まる制限が国や北海道から幾度となく発せられ、ワクチン接種においては他の自治体よりいち早い体制整備と厚生診療所長である馬場医師ご協力の下、村民の感染者を最少に止めることが出来ました。
今年の1月以降は新規感染が全国的にも減少傾向にあり、5月8日からは感染症法上の位置づけを2類から5類相当に見直しを行うなど、ウイズコロナへ向けた移行スケジュールが示され、コロナからの脱却に進みつつある中で、村と致しましても地域経済活動の再開と感染防止対策の両立に向け、関係機関との密接な連携や情報の提供など、最大限の努力を続けて参りますので一層のご理解とご協力をお願い致します。
さて、我が国は新型コロナウイルス感染症の波を繰り返し、ロシアのウクライナ侵攻による深刻な国際情勢に伴い経済の低迷と物価高騰など、国民生活と経済活動に甚大な影響を及ぼしております。
一方では、東京一極集中が続く中で全国的な人口減少と少子高齢化による労働力不足が進み、当村におきましても雇用の確保や人材育成が喫緊の課題であり、村政を取り巻く環境は一層厳しさを増しておりますが、この難局乗り越えるためにも村民の目線に立って、初心忘れることなくこれまで以上に気を引き締め、「美しく住みよい活力ある村づくり」の村政執行にあたる所存でありますので、村民皆様方のご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
重点事項

国は、人口減少時代の到来に向け地方が成長する力を取り戻し、急速に進む人口減少を克服するために、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定して取り組んできたところでありますが、各自治体においても、これからはデジタルの力を活用した社会課題の解決や魅力向上に取り組むことが重要となり、令和5年度からの5カ年計画「デジタル田園都市国家構想総合戦略」が昨年12月に閣議決定されて、デジタル基盤の整備や自治体DXの推進に取り組む事が求められています。
また、地球温暖化を食い止めるため、世界的に加速化されているカーボンニュートラルの取り組みである脱炭素化の推進は、日本は2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするとしており、エネルギーの地産地消を進める「分散型エネルギーインフラプロジェクト」の展開により、地域脱炭素の一層の取り組みを推進する事となりました。
当村としましても、これら時代の潮流を踏まえた対応を進めていくために、「デジタル田園都市国家都市構想地方版総合戦略」を策定し、地域の実情や資源、デジタル技術等を有効活用しながら、暮らしやすく、魅力あふれる地域づくりを推進し、都市から西興部村へ人の流れを強化できるよう取り組み、第5期西興部村総合計画の目標である「2031年度末人口1,000人以上」を達成させるために、行政と住民との協働により持続可能な地域の実現を目指して参りたいと考えますので、議員の皆様方をはじめ、各事業所・団体など、村民皆様の一致団結したご支援とご協力をお願いするところです。
予算概要

令和5年度一般会計予算総額は、29億2,500万円の前年度対比12.2%増となり、公債費を除く歳出は、24億7,700万円で、前年度対比14.0%増となった次第であります。
このうち、経常的経費は、にしおこっぺ福祉会運営補助、下水道会計への操出金、公債費の増、電気燃料価格高騰の影響により、前年度対比7.15%増の21億7,503万円となり、建設事業などの臨時的経費は、村内イントラネットワーク機器更新工事、診療所超音波画像診断装置等購入、歯科診療所歯科ユニット更新工事、バイオガスプラント余剰熱利用ハウス建設工事、森林公園改修整備、村道流末排水路整備工事などを実施することとし、前年度対比30.2%増の7億4,996万円を計上したところであります。
また、令和5年度末基金残高は、1億556万円減の63億2,963万円を見込んでいる一方、特別会計を含めた地方債と債務負担行為を加えた長期債務は9,876万円増の43億7,678万円となる見込みではありますが、その必要性と優先順位を見極め、今後も効率的な行政執行に努めていく所存であります。
各分野別予算概要
誰もが住み慣れた場所で豊かにくらせるむら

住宅環境整備として、上興部第2団地公営住宅1棟4戸の屋根・外壁の塗装工事を実施して参ります。
更に、持家建設促進のための奨励補助金や、街灯維持費補助金についても、引き続き必要な予算を計上したところであります。
道路整備については、「森合橋」と「いこいの森公園橋」の補修工事と天北峠の国道改修に併せ「天北跨線橋」を撤去し盛土構造へ更新する設計をするほか、西興部中学校横の流末排水路整備工事及び中藻布登呂道路の流末排水路測量設計、奥興部の越中団体道路改良工事、忍路子の国道交差点及び道路改良と法面崩壊対策のため道路測量設計を実施してまいります。
道路維持につきましては、防災性向上のため維持管理を適切に実施するとともに、冬期間の除排雪業務など迅速な対応に努めて参ります。
河川につきましても、洗掘対策や土砂撤去等の維持管理を適切に実施してまいります。
安全、安心なむらづくりについては、令和5年度に消防組合設立50周年を迎え記念事業を行い、更なる消防・防災体制や救急活動体制の充実を図っていくほか、専門知識を有する講師を招いて防災セミナーを実施し、村民の防災意識の高揚を図るとともに、国の指針に基づき、Jアラート(全国瞬時警報システム)の情報伝達手段の多重化を推進するため、外部スピーカーに連携させる工事を実施してまいります。
また、交通安全運動については、昨年6月、村民皆様の悲願でありました交通事故死ゼロ10,000日を無事達成すると共に、新目標「めざそう!交通事故死ゼロ30年」を設定し、村民一丸となって交通安全運動に取り組んでいるところであります。
交通安全運動は、一日たりとも休むことのできない運動であり、村民皆様のご協力のもと、交通事故死ゼロが永遠に続くよう、引き続き、交通安全啓発の強化に努めてまいります。
さらに、交通手段の確保として、従来の通院・入浴並びに未就学児や生徒などの送迎に加え、上興部小学校の閉校に伴い、新たに小学生の送迎を行ってまいります。
また、名寄本線代替バスを利用して名寄紋別間の病院へ通院する高齢者への通院助成を行うほか、買い物等バス利用支援事業を令和5年度より新たに実施いたします。
オホーツク紋別空港の利用促進を図るため、紋別羽田便を利用された村民及びホテル森夢の宿泊者に、航空運賃の一部を助成する制度を引き続き実施してまいります。
情報通信事業については、これまで整備されたシステムのセキュリティ強化を図りながら有効に活用し、行政情報や地域情報の迅速な提供に努めてまいります。
出産も子育ても介護も医療も安心できるむら

少子高齢化が加速する中で、高齢者や障がい者及び子育て世代への支援、健康づくりの推進など、村民の皆様がこの村で安心して、元気に生活し続けていくためには、保健・医療及び福祉の充実が不可欠であります。
平成30年度に着任いただい馬場医師におかれましては、引き続き厚生診療所長として村の医療を守っていただけることは、大変うれしく、心強いところであります。
その西興部厚生診療所では、各種医療機器を整備するとともに、西興部歯科診療所においてもユニットを更新する等、円滑な診療体制の確保に努めてまいります。

その他の保健・医療については、疾病の早期発見や、早期治療を目的とする住民検診を実施し、検診結果に基づく保健指導に努めるなど、保健師によるきめ細やかな健康相談を充実させ、村民の皆様が生活習慣病に関心を持ち、自らの健康管理と健康増進に取り組むきっかけとなるよう「ヘルスアップ教室」を実施し、「セトウシくん体操」も各種イベントで活用・PRするとともに、村民がホテル森夢で入浴する場合に料金が半額になる「元気回復入浴事業」も積極的に利用してもらい、入浴を通した健康増進を図ってまいります。
また、新たに「帯状疱疹ワクチン」の費用助成を新設し高額な費用負担を軽減するとともに、引き続きインフルエンザの予防接種や肺炎球菌ワクチン接種費用の助成、風疹、おたふくかぜワクチン接種の一部公費負担を行うなど、村民皆様の負担軽減を図りながら、感染拡大の防止に努めてまいります。
また、高齢者見守り緊急通報システムを活用して安心・安全の確保に努めるほか、一人暮らしの高齢者が緊急時に必要となる医療情報を収納し、救急の際に医療従事者に情報提供する「命のバトン事業」についても引き続き実施してまいります。

更に、高齢者福祉では、除雪サービス事業や福祉入浴、敬老会執行経費、社会福祉協議会に対する人件費の助成なども引き続き実施し、障がい者福祉においては、西紋こども発達支援センターの運営に係る費用を負担するほか、通所する利用者の交通費を助成し、経済的負担の軽減を図るとともに、引き続き、自立支援給付と地域生活支援事業を行うなど、障害のある方へのサービス提供により、安定した日常生活の充実に努めてまいります。
障がい者支援施設「清流の里」と特別養護老人ホーム「興楽園」など、にしおこっぺ福祉会で働く看護職員や介護職員の確保が大変厳しいことから、人材確保への支援についても引き続き実施するとともに、当村の数少ない就労の場を守るべく、興楽園及びケアハウスへの運営費補助や運転資金の貸し付けを実施します。
令和4年度に保険適用となった不妊治療の自己負担への助成を本年度から実施するとともに、0歳から2歳の低年齢期に焦点を当てた国の出産子育て伴奏型支援による応援ギフトの配布、産前産後サポート事業及び産後ケア事業としての助産師による相談、子育て支援アプリを通した各種情報の提供、子育て支援センター「里住夢」での親同士の交流事業の充実など、子どもを産み、育てやすい環境の整備・充実を一層図ってまいります。
保育所では、新たに土曜日保育を実施するほか、1歳児保育、延長保育、一時預かり保育、就学前の発達支援を目的とする5歳児健診も引き続き実施してまいります。
また、子供医療費無料化事業、妊産婦安心出産支援事業、エンゼル祝金、育児用品購入助成事業、夢のおくりもの事業、ブックスタート事業、子育てハンドブックの配布を引き続き実施することにより、出産など子育て世帯への経済的・精神的負担の軽減を図るとともに、結婚に伴う生活準備費用の一部を助成する、結婚新生活支援事業も引き続き実施してまいります
個に応じた特色ある教育を受けられるむら

なお、令和5年3月31日をもって113年の歴史に幕を閉じた上興部小学校校舎の今後の活用については、上興部連合町内会と連携しながら進めてまいります。
また、今後においても基本的な新型コロナウイルス感染対策の徹底に努め、児童生徒の健康と安全を守りながら学びを保障すると共に、芸術鑑賞の機会や、公民館講座などの学習機会を提供し、村民が学ぶことができる学習環境の整備や多様な学習活動を通して、住民相互の学習活動を支援し、地域に根付いた様々な文化活動の振興と地域コミュニティの活性化を目指してくまいります。
新しい産業の創造と人材誘致の仕組みが整っているむら

このような状況の中、引き続き移住・マッチング支援事業を北海道と連携して取組むほか、地域おこし協力隊制度を活用した人材確保、福祉人材確保に向けた支援やオホーツク楽器人材確保支援の拡充をするなど、地元企業・産業における人材確保に向けた支援を行ってまいります。
村の知名度向上に向けては、引き続き札幌市内でのPRを行うほか、村の特色であります猟区管理協会やギター工場、村の特産品などをBS放送を通じて全国に紹介するなど、地域の魅力を発信してまいります。
また、村を応援してもらうきっかけづくりとして、村にゆかりがある者が集う同窓会等や村外者との交流会を開催する経費の一部を支援するとともに、交流人口や関係人口の増加や将来的な人材確保を繋がるよう、インターシップ受入支援事業を新たに設け、大学生が村内で活動する際の滞在費などを支援してまいります。
更に、村民や事業者が自ら行う特産品の開発や村のイメージキャラクター「セトウシくん」の活用などを積極的に進めてもらうよう、引き続き支援を行ってまいります。
観光振興においては、令和4年度から2か年継続事業で着手した「森林公園改修整備」の最終年であり、遊具等の備品整備を行い森林公園の充実を図ります。また、運営については、工事が完了した「新たなテントサイト」を無料から有料に変更して運用開始し、令和5年度工事完了後は順次、使用料金の改定を行い収入の増を見込む運営を行います。
次に、「ウィズコロナ・アフターコロナにおける西興部村の観光振興」ついて、北海道大学よりアドバイザーを招致し、「観光を考える意見交換会」を実施しておりますが、令和4年度は1回の開催に終わったため、引き続き令和5年度も複数回開催し、村の観光振興の方向性等について、取りまとめていきます。
この他、日本庭園「興楽園」を貴重な村の財産として保全管理し、未だ回復が見込めないホテル森夢の運営支援を強化するとともに、夢施設の運営を引き続き行うほか、移住者の促進や観光情報の効果的な発信に努めます。
商工業においては、引き続き第3セクターであるオホーツク楽器工業の良好な運営に努めるほか、「ふるさと創造支援事業」の新規事業の更なる創出や既存事業者の経営基盤強化を図り、中小企業の運営資金を支援するための政策預託と、中小企業・商工業者の借入利息や保証料の助成についても、引き続き実施してまいります。
農林業の生産加工基盤が安定しているむら

また、本村では、これまで、10数年16戸の酪農家戸数を維持してきたところですが、昨年の離農が2件で、酪農家戸数は法人経営含め14戸に減少しました。このため、JAオホーツクはまなすを中心として、関係機関と連携した離農後の対策が急務であります。
このような中、今後も農家戸数の維持が重要であり、将来の後継者・担い手不足の解消を図るため、新たに「農業体験・研修支援事業」を創設し、将来の担い手を育成するほか、2年目となりますが酪農支援員の募集・配置や「新規就農を考えるセミナー」の本村開催に支援、新規就農者支援事業補助や酪農ヘルパー運営事業への助成などについても引き続き実施します。農業所得の確保と農業者の経営・生産意欲の向上を図るため、国の中山間地域直接支払交付金事業及び、多面的機能支払交付金事業を継続して取り組みます。

さらに、エゾシカやヒグマによる鳥獣被害防止対策の支援を強化するとともに、食肉などの有効活用や残滓処理などに対して引き続き支援を行います。
林業振興においては、ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの影響で、木材価格が高い水準で推移しているものの厳しい林業経営は変わらず、森林所有者の高齢化や後継者不足により、森林整備への意欲が減退し、森林の持つ機能の低下や荒廃化が危惧されております。
このため、森林環境譲与税を有効に活用し、森林整備や担い手の確保、木材利用の普及啓発を推進するため、森林整備事業に取り組む事業者への負担軽減や事業の掘り起こしを進めます。
また、村有林においては、森林環境譲与税を活用した普及啓発事業として、ギターの原料となるシナの植樹事業を継続して実施するほか、森林経営計画に基づき間伐や下刈り、皆伐及び新植事業など適切な保育管理に努め、林道においても林道草刈・路面正整・小径木除去など、適切な維持管理に努めます。
美しい自然環境が保たれているむら
また、町内会や各種団体、関係機関とも連携・協働して、「我が村は美しく事業」や「全村一斉清掃」のほか、各家庭の庭先や各事業所にも、プランターなどを設置して頂くための支援事業も継続し、花いっぱいの景観づくりを更に推進し、村に暮らす人や訪れる人が共に心の癒される「美しい村づくり」に努めてまいります。
脱炭素に向けた取組として、太陽光発電システム設置に対する支援を継続するとともに、公共施設のLED化に令和6年度までの2か年で取り組んでまいります。その他脱炭素に向けた地域における最適な手法について、調査研究を行ってまいります。
住民と行政の協働が根付くむら

広域連携の推進に向けては、引き続き西紋別地域の自治体と連携を図るとともに、名寄市、士別市を中心市とする北・北海道中央圏域定住自立圏の取り組みでは、2次救急医療体制やバス路線の維持・確保のほか、災害時に必要な情報の共有と相互応援体制の整備・強化など、安心して暮らせる定住自立圏の形成を図ってまいります。
以上、令和5年度の村政執行に臨む所信と、各会計予算案の概要について申し上げましたが、よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げ、重ねて村議会議員の皆様をはじめ、村民皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、結びといたします。
問い合せ先・担当窓口
企画総務課 情報統計係
- メールアドレス: ni.chyousajyouhou@vill.nishiokoppe.lg.jp
- 電話番号: 0158-87-2900
- ファクシミリ: 0158-88-5134