西興部村猟区管理協会

第19回(2012年11月)

事務所の前で集合写真
2012年11月23日~26日、第19回西興部村猟区新人ハンターセミナーを開催し、酪農学園大学の伊吾田宏正氏、森林総合研究所北海道支所の松浦友紀子氏を特別講師として迎え、全国各地から10名の参加がありました。そのうちハンターとしての参加は4名でした。

本年度セミナーは狩猟技術を総合的に学べる2泊3日のコースを、<基礎編>と<応用編>それぞれ1回ずつ開催します。前者は非積雪期の、後者は積雪期のエゾシカ猟実習を含みます。
 今回実施した<基礎編>ではエゾシカ流し猟・基本的な解体・射撃練習の安全確認の解説(射撃場での講義ではありません)、室内講義では流し猟の概要・狩猟技術・シカの生物学やシカ肉の特徴について学びました。

第19回新人ハンターセミナー

室内講義「流し猟の概要」、出猟実習、内臓摘出、室内講義「狩猟学」「エゾシカ地域管理の事例」
 初日は午後1時半集合の後、オリエンテーションを行い、協会事務局長による「流し猟の概要」について講義を受けました。
 その後、さっそく3台のガイド車に分乗して出猟実習に向かいました。西興部にも少し遅い本格的な冬が訪れ、平地でも20cm程度、山では30cm以上の雪が積もりました。これから5ヶ月間、村は雪の世界に包まれます。ハンター1名を含め、3名の参加者が乗車する事務局長のピックアップトラックは30cmの雪をラッセルしながら、西興部の最高峰のウェンシリ岳のふもとに進んで行きます。
 初めのシカとの出会いは、山の斜面でこちらをじっと眺めているメスの親子でした。親子のシカを見過ごして、シカからはこちらが見えないところで車を止めます。シカまでの距離80m。ハンターにシカのいた場所を伝え、シカに近づきます。ハンターがシカの位置を確認して間もなく、親子のシカは林の中を勢いよく走りだし、山の影へと逃げて行きました。雪は思ったより深く、葉に雪が積もる中を歩くと、腰付近まで雪に埋もれます。奥まで進んで行くと、いよいよ車がスタックし始めましたので引き返すと、道路から40mほどの沢に若いメスジカがいます。車をシカから離れたところで止めシカへ近づきます。シカはさっきと同じ場所から動いていません。ハンターはゆっくりとシカを驚かせないように銃を構えます。銃声と同時にシカは倒れ見えなくなりました。頭部を撃たれたシカは何もストレスを感じずに、絶命しました。シカを参加者全員で沢から引き上げ、車に積み込み、解体処理場に向かいます。

 解体処理場に全員で集合して衛生的な内臓摘出が行われました。ホテルに戻り、引き続き行われた室内講義では、協会事務局長から「猟区制度によるエゾシカ地域管理の事例」、伊吾田宏正氏から「狩猟学」の講義では獲物の発見から、発砲の原則、着弾位置の説明、命中後の痕跡、追跡・回収方法、内臓摘出、剥皮、大バラシ、保存、調理法などについて学びました。
    • 室内講義「流し猟の概要」 

      室内講義「流し猟の概要」 

    • 捕獲後の内臓摘出

      捕獲後の内臓摘出

解体・料理実習
 2日目も早朝から出猟実を行い、ハンター3名が3頭のメスジカを捕獲しました。
 「解体実習」では剥皮から大バラシ、ブロック分け、筋引き、抜骨について学びました。
 午後からは「料理実習」を行い、夜の懇親会で試食する、シカ肉のロースト、鹿焼肉、シカカツレツの仕込みを行いました。
 
 その後、午後2時半から出猟し、成獣メスを1頭捕獲しました。今回のセミナーでは合計5頭のシカを捕獲しました。
 
 夜は懇親会を行い、料理実習で仕込みをした料理を試食しながら、全国各地で起きている野生動物の問題や銃についての意見交換などが熱心に行われました。
    • 解体後の抜骨作業

      「解体実習」では剥皮から大バラシ、ブロック分け、筋引き、抜骨について学ぶ

    • 料理教室 懇親会用のローストの仕込

      料理教室 懇親会用のローストの仕込

室内実習「シカの生物学」「シカ肉の特徴」「モデルガン演習」
モデルガンを用いた銃の取り扱い方実演

モデルガンを用いた銃の取り扱い方実演

 3日目は室内講義を行い松浦友紀子氏から「シカの生物学」としてシカの分類・形態・生活史・個体群動態、「シカ肉の特徴」の講義がありました。

その後意見交換会とアンケート調査に協力していただいて、セミナーを終了しました。